秋保に、新しいカフェが生まれます。
数年前より少しずつ取り組ませていただいていた、秋保温泉近くの建物が、先月ひとつの区切りを迎えました。
この場所は、8月から9月頃のオープンを目指して準備が進められているカフェです。
自家焙煎のコーヒーと、焼き菓子などを楽しんでいただける場所になる予定です。
建物の中に入ると、まず目に入るのは、力強く組まれた木の架構です。
伝統的な木組みの手法を用い、一本一本の木が互いに支え合いながら、空間全体を包み込むように立ち上がっています。
壁には、竹小舞を下地とした土壁を用いています。
土壁は、ただ古い工法というだけではありません。
土を塗り重ね、乾かし、また手を入れていく工程の中に、人の時間や手仕事の跡が残ります。
完成した壁は、光をやわらかく受け止め、室内に落ち着いた表情を与えてくれます。
床には三和土を用い、そこから秋保石の床へとつながる構成になっています。
足元に自然素材の質感が連続することで、外から中へ、また中から奥へと、ゆっくり気持ちが導かれていくような空間になりました。
今回の仕事では、単に「建物をつくる」ということだけではなく、これからこの場所で始まる時間を想像しながら、ひとつひとつの納まりを考えてゆきました。
朝に焙煎の香りが立ち、
コーヒーを淹れる音がして、
焼き菓子が並び、
訪れた方が腰を下ろして少し息をつく。
そうした日々の風景を受け止められる場所になるように、木、土、石、それぞれの素材が持つ自然な力を大切にしています。
依頼者の方にとっても、この建物は単なる店舗ではなく、これから人を迎え、時間を育てていく大切な場所です。
自家焙煎のコーヒーを通して、訪れる方にほっとできるひとときを届けたい。
その想いが、空間のあちこちに静かに表れているように感じます。
私たち施工者にとっても、伝統的な木組みや土壁、三和土、石といった素材と技術を、現代の暮らしやお店の空間の中にどう生かしていくかを考える、貴重な機会となりました。
昔から受け継がれてきた手法は、決して過去のものではありません。
今の時代の中でも、人が心地よく過ごすための力を持っています。
このカフェが、地域の方々や訪れる方々にとって、静かに記憶に残る場所になっていくことを願っています。
オープンまでもう少し。
これから家具や器、コーヒーの香りが加わり、空間はいっそう生き生きとしていくと思います。
完成までの時間に関わらせていただいたことに感謝しながら、これからこの場所に流れていく日々を、私たちも楽しみにしています。
